みなさん、こんにちは。
通訳案内士を目指そうとしている方で(すでに通訳案内士の人でも!)たまに
将来的にはガイド資格は無くなって、
誰でもガイドできるようになるんですよね?
と思ってる方がいらっしゃいます。
通訳案内士制度にはいろいろな問題があり
規制緩和の方向に動いているのは確かですが
全くなくなるということは無いでしょう。
まず現在でもガイドに仕事を多く発注している旅行会社の中で
ガイドの能力をチェックできる会社はさほど多くありません。
なぜなら、社内に通訳案内士経験者がいないからです。
ガイド経験者で無いものがガイドの能力をチェックしたり指導することができるはずがありません。
できることといえばお客様のアンケートをもとに満足度をチェックするぐらいです。
そのため通訳案内士資格保持者を使用するということは一定の業務遂能力を備えている者を使用しているという保証になります。
この制度が無ければ、各社がそれぞれ求人をかけて面接し、選抜し、育成していかなければならなくなります。
また旅行会社の営業はガイドを派遣するだけで実際にツアー現場に出てくることは稀ですので
”国家資格を持ったガイド”を派遣するということは彼らにも、お客様にも安心なわけです。
というわけで世界各国には様々なガイド資格が存在し、国に手厚く守られているものもあれば、(日本のように!)適当に放置されている国もあります。観光立国といえる国ではまず立派なガイド制度が存在しています。
さて、ではなぜ日本では規制緩和のお話がでてくるのでしょうか。
それはやはりガイドの需要と供給が見合っていないということでしょう。
現在の通訳案内士試験は難しく、きちんとした語学力と教養が無ければ合格できません。
それだけの語学力を持った人であれば語学でご飯を食べていくことは難しくはありません。
ではガイドの収入が彼らの能力に見合っているのかというと微妙なところです。
ガイドとして生活していくことはさほど難しくはありませんが
能力に見合った収入をと考えるとなかなか難しいです。
ガイドは基本フリーランスですので自分のスキルや営業力で大きく収入が変わってくるというのも事実ですが世の中の平均収入を上回る人はかなり少数でしょう。
ということで、せっかくガイド資格を取得しても稼働してないペーパーガイドが非常に多いのです。
一方昨年の訪日外国人は1000万人を超え、
旅行会社としては一人でも多くのガイドを確保したい状況です。
今回の九州地区の募集についてはこちらを見てください。
本当は通訳案内士しかできない仕事を特例地域において研修を終了した者に特別許可を与えて
ガイドをできるようにしようというものです。
ただし、これは中国語、韓国語、タイ語に限られているので
主に留学生にバイトでガイドをやってもらえるようにしようということだと思います。
決して業務遂行できる語学力が無い人にも開放しようというものではありません。
留学生にとっても割のいいバイトではありますが
職業としたい仕事にはなりえないでしょう。そもそも彼らは優秀ですからね。
またバイト程度の仕事ではビザが下りませんのであくまで留学生という立場でしか仕事はできません。
私は、一時的に留学生使ってお金儲けしようなんて考えていると、かえって起業精神のある留学生がこれを機に旅行業で起業して、利益がすべて海外流出して日本の企業にはお金の落ちないシステムが構築されるんじゃないかと予測しています。彼らはたくましいですからね。
——補足です——
なぜ九州かといえば、九州には多くの客船が立ち寄ります。
瞬間風速的に1000人近くのお客様が到着するわけですから
当然地元の通訳案内士だけでは対応できません。
通訳案内士は主に都市部に集中していますので、時には飛行機に乗って長崎などにやってきます。
当然旅行会社は宿泊や食事代なども支給しますので痛い出費です。
一時的に飛んでくるガイドよりは地元の方に案内してもらった方がいいことも多いのも確かです。
またアジアの国からのお客さんは歴史などよりも買い物や温泉、食事目当てなことも多いですので、歴史文化に精通した通訳ガイドではなくても言葉ができる人ならいいという面もあります。
——-以上補足でした——
特例ガイドなどの規制緩和が進むことで通訳ガイドの将来が危ういと感じる方もいるかもしれません。
でも国が能力を保証する制度をなくしてしまうようなことは
誰も望んではいませんので受験を考えている方は安心してください。
また特区ガイドになる方も将来的には通訳案内士になって活躍していただきたいですね。
今日の話だと頑張って通訳案内士資格とっても将来厳しいだけじゃん!と思った方も多いと思います^^
しかし、現役ガイドにはそれなりにガイドをやっていくモチベーションがあるんです。
それを次回お話しますね。