英検とTOEIC受けるならどっちがいいでしょうか?今回はそんな疑問にお答えします。
受験の目的は
まずは受験の目的が大事です。社会人で特定のTOEICスコアが求められているならやはりTOEICが有効でしょう。TOEICの問題の内容もビジネスに即したものですので企業ではTOEICスコアを求めることが多いようです。
ただし合否を決定するものではなくあくまで現在の英語力を数値化するものですから、上がることもあれば下がることもあります。スコアの有効期間は2年ですので定期的に受験することが必要となります。何度も受験できますが、スコアが停滞したり下がったりするとモチベーションの維持も大変です。
TOEIC L&Rにはライティングやスピーキングが無いので、独学でも結構スコアは伸ばせます。時間がないビジネスマンには向いてます。
それに対し英検は各級で合格、不合格が決まりますのでレベルに合わせてステップアップするというモチベーションの維持がしやすいです。また四技を測るテストですので比較的飽きずに勉強できるはずです。
一度合格してしまえば一生有効です。受験でも優遇措置がありますので学生にはお勧めの資格です。また合格にはコミュニケーションが取れる総合力が必要ですので、使える英語力が身に付きます。
ライティングやスピーキングテストは独学では難しいので指導者から学ぶのが一番です。数年単位で計画的に英語力アップを目指すなら英検が適しています。
※受験で利用する際には英検の取得年が問題になることがありますのでこちらもご覧ください。
就職、転職目的ではTOEICか
では就職や転職を目的にした場合はどちらが有利でしょか。
一般企業でですとTOEICスコアで条件を設定している会社が多いと思います。しかし、本当に英語を必要とする職種(通訳、翻訳、講師など)では英検で提示されていることが多いと思います。
つまり実際はどれぐらいのスコアでどれぐらいのことが出来るのかあまり分かってない会社がTOEICスコアのみを基準にしていることも多いのです。たまに「TOEIC600点以上もしくは英検1級以上」というようなおかしな求人も目にします。この場合は断然TOEICがお得ですね!
実際ある求人サイトで「英検」と「TOEIC」で求人数を検索し比較したところ、TOEICは英検の10倍HITがありました。それだけビジネスの場面ではTOEICは浸透しているということですね。
ただし、よくわかってなさそうな会社には英検○○級持っています。TOEIC換算で何点ぐらいですと補足すれば問題ないと思います。
受験目的では英検か
一方で2019年度の受験者数は英検が約400万人に対しTOEICは240万人です。受験数的には圧倒的に英検が多いです。
そのうち約350万人が高校生以下です。
またTOEICのSpeakingとWritingを試すSWテストの受験者はわずか37800人です。受験目的でTOEICで四技を試している学生はあまりいないと言えるでしょう。
やはりもともと文科省認定ということで推進していた英検ですので、学校教育との結びつきが強いです。進学に有利になるということで子供たちは英検を受けていると思いますし、子供の頃からレベルに合わせて受験することができるので、受けやすいテストです。
学校教育において主に2技を試すTOEICに対し4技を試す英検の信頼度は高いです。
しかし英検も準1級と、1級になると一気に難易度もステータスが上がります。特に英語のプロとしてやっていきたいのなら英検1級は取りたいところです。
英検の特徴
それでは各テストの特徴を見てみましょう。
まずは英検の特徴です。何と言っても四技を試す試験ということでバランスがいいです。面接試験は10分足らずですが色々な質問をされますので、その対策を日頃からすることで会話力も向上します。
基本的に学生が子供の頃から段階を踏んで受験するように設計されていますので、内容もその年代にあった内容で、学校生活や学校で習うような話題が多いです。そのため飛び級して受けようとするとちょっと難しいと感じるかもしれません。
例えば、当校で先日英検2級に合格した中学生の生徒さんがいますが、英検2級は高校卒業程度の英語レベルですのでちょっとした社会問題に関する読解や面接のトピックがあり中学生にはそこが難しいところです。
帰国子女であれば小学生でも英検準1級にチャレンジできますが、同じような理由で普通の子供にはちょっと難しいです。飛び級をするには英語以外の頭の回転の良さも必要になると思います。
また受験に関しては英検を持っていると受験で加算があったり、英語科目を免除してくれたりなどのメリットがあります。
就職でアピールできるのは2級以上です。日本英語検定協会の目安では英検2級は高校卒業程度となっていますが、実際は大学受験でも有利になりますので普通の高校生には難しいです。
また大学受験が終わると英検も受けなくなってしまう人も多いですが、その後も継続的に勉強してる証明にもなります。2級があれば簡単な英文事務などもこなせるでしょう。
準1級は外国語学部の卒業生でしたら合格すると思いますが英文学科や国際学科、教育学部などの卒業生でも簡単には受かりません。ですので社内でそこそこの英語業務はこなせるレベルですし、海外勤務も出来るでしょう。
級 | 目安 | イメージ |
---|---|---|
5級 | 中学初級程度 | |
4級 | 中学中級程度 | |
3級 | 中学卒業程度 | |
準2級 | 高校中級程度 | 高校受験で有利 |
2級 | 高校卒業程度 | 高校受験でかなり有利 大学受験で有利 就職に有利(英語の簡単なやり取りやメール対応など) |
準1級 | 大学中級程度 | 大学受験でかなり有利 英文科卒の学生や学校の英語の先生でも苦労するレベル。 就職にかなり有利(社内で英語が出来る人と認識される。海外赴任にもチャンスあり) |
1級 | 大学上級程度 | 英語のプロの入門レベル。翻訳や通訳などの仕事をしたいならココが登竜門。これを通過し専門性を磨きます。 就職にかなり有利(社内で頼られるレベル。日常的に英語を使うポジションに就ける) |
TOEICの特徴
続いてTOEICです。TOEICは元々日本人の英語力を測るために開発されたテストで韓国などのアジア圏で人気がありますが、世界的に受験もできますがやはり留学先でアジア人が受験している感じです。私が留学していたカナダでもTOEICを受けているのはアジアの留学生だけでした。
内容はビジネスに関する場面が多いために企業が採用活動に活用したり、社内での英語力測定に定期的に活用されています。現在はTOEIC S&Wというスピーキングとライティングを試すテストも行われており四技を測定して受験にも活用できます。社会人の場合はやはり基本のTOEIC L&Rでリスニングとリーディングだけを測定することが多いですのでTOECIスコアと言えば通常このL&Rを意味します。
リスニングとリーディングで各495点満点で合計990が最高のスコアです。このスコアは単純に正解数ではなくて毎回調整が入りますのでどの回を受けてもレベルが一緒なら同じスコアが出るはずです。
TOEICにはIPテストという団体受験制度もあり、団体毎で自由に受験日を設定して英語力を測定できるという手軽さも企業や大学などの教育機関に幅広く受け入れられている理由かと思います。
またTOEICには合格不合格がなく受験者全員にスコアが発行されます。そのため英語力が低い受験者にはかなり難しく感じますし、2時間の受験時間内に解き終わることさえできません。しかし上級レベルの人しか解けない問題があり、解き終わらない問題があるというのもテストの設計の一部なので心配することはありません。
850点以上を目指していくのなら時間内に解き終わるスピードを付けるのも大事です。
私達でさえ2時間集中しなければいけないTOEICは英語力以外の体力なども必要なので結構疲れるテストだと思っています。
語彙力がアップして読むスピードが上がれば時間内に解き終われるようになりますし、リスニングは慣れればそれほど難しい話をしているわけではないのでスコアが900を超えたぐらいから、リスニングは満点を取れるようになると思います。
基本TOEICは就職を意識し始めた専門学校や大学生以上が受けるといいテストですので、初中級用にはTOEIC Bridgeという入門用のTOEICテストが用意されています。
さてTOEIC学習者は以下の目安を参考にしてください。
レベル | TOEICスコア | ガイドライン |
---|---|---|
A | 860 | ノンネイティブとして十分なコミュニケーションが取れる |
B | 730 | どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている。 |
C | 470 | 日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる。 |
D | 220 | 通常会話で最低限のコミュニケーションができる。 |
E | コミュニケーションができるまでに至っていない。 |
逆に言えば企業の採用担当者もこのレベルを参考にしていますので730や860というのが大きなポイントとなります。基本的な事務レベルなら550程度、そこそこの応対があるなら730程度、仕事英語を話す、海外赴任するなら860以上、社内で日常に英語を使う頼りになる人材は945が目安かなと思います。
レベルの比較
さて単純に英検の級とTOEICのスコアを直接比較するのは難しいのですが各団体が公表している次の換算表を見比べると比較しやすいと思います。
CEFRというのは世界基準の語学レベルを表す目安ですので、そこを通して比較してみると大まかですがレベルの対比が可能です。
C1 英検1級 TOEIC945
C2 英検準1級 TOEIC785
C3 英検2級 TOEIC550
ぐらいに換算できるかと思います。
その他の比較
その他の比較対象には受験のしやすさや受験料もあります。
TOEICはほぼ毎月実施の為年10回受験可能です。ただし間隔は3ヶ月ほど空けないとスコアには反映しづらいと言われています。※コロナ禍の現在では受験人数を絞っているので午前、午後の2回実施(通常は午後のみ)でさらに抽選となっているようですので、どうしてもスコアが必要なかたは抽選に外れることも計算に入れて余裕をもって申込しましょう。
英検は基本年3回で、一次試験に通過すれば二次試験の面接を受けることになります。現在はCBSという方式の受験も出来るようになりましたので英検も最大年9回受験できます。詳しくはこちらをご覧ください。
値段についてはTOEIC L&Rは一律6490円(税込み)ですが四技を測りたい場合は追加でS&Wでストの10450円(税込み)がかかりますので、合計で16940円(税込み)となりかなり割高になります。再受験割引やIP受験での団体割引などもありますのでそちらの利用も検討したほうがいいでしょう。
英検は受験級にもよりますが四技の測定込みで以下の料金(税込み)です。会場テストは一次で落ちたらスピーキングテストは受けられませんが、二次試験に進んでも追加料金はありません。
従来型 | CBT | S-CBT | |
---|---|---|---|
準1級 | 8400円 | 7400円 | 7900円 |
2級 | 7400円 | 6400円 | 6900円 |
準2級 | 6900円 | 5900円 | 6400円 |
3級 | 5900円 | 4900円 | 5400円 |
では結局英検とTOEICどちらがいいのか?
あなたの目的次第ですが、短期でスコアを伸ばしたいならTOEIC、長期的に見て使える英語力を身に着けたいなら英検です。
TOEICは基本リーディングとリスニングのテストですのでスコアの割に話せない人を数多く見てきました。会社にスコアを求められているので嫌々受験している人も多いかと思います(笑)
またTOEICは単語を覚えて問題集をやればいずれスコアはあがります。短期で結果を出したいビジネスマン向けとも言えます。(結果と言ってもあくまで必要なスコアであって使える英語力という意味ではありません)独学でコツコツやれば滅茶滅茶な発音でも、ほとんど文が作れなくても何とかなってしまいます。
※余談ですが、毎回受験して満点を目指しているプロの受験者が多いのもちょっと気になります。はたしてそんな状態で適切なスコア測定ができているのか少し気になるところです。
英検はきちんとした発音でコミュニケーションが取れないと合格しません。個人的にも留学前に受けた準1級の二次でつまずいた時がありましたがカナダ人のカンバセーションパートナーに出会い会話力を磨いたことで、無事に二次を突破することができました。
教える側としては英検であれTOEICであれ、きちんとコミュニケーションが取れる英語を身に着けてもらいたいところです。
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